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執筆者の写真Kaz Uematsu

2024年対馬アビ類漂着鳥調査初日の報告

 対馬は長崎県に属し、九州の西方、日本海に浮かぶ自然豊かな島です。この島はその独特の生態系で知られ、多くの固有種や希少種が生息しています。中でもツシマヤマネコは、対馬固有の代表的な野生動物であり、この地域の生物多様性の象徴的存在です。

島の地理は山がちで、豊かな森林に覆われており、これが多種多様な動植物の保護区となっています。また、対馬は渡り鳥の重要な飛来地でもあり、アビ類を含む多くの海鳥がこの島の海域を通過していきます。冬季には、これらの鳥たちが遭遇する環境問題、特に油汚染が深刻な影響を及ぼすことがあります。

 アビ類は、海上で生活する鳥であり、彼らは主に魚を食べ、その捕食行動は海洋の食物連鎖において重要な位置を占めます。しかし、油汚染によって羽が汚れると、浮力を失い、体温調節ができなくなり、最終的には生存が困難になることがあります。

 2006年の冬、当時の環境省対馬野生生物保護センターの獣医師らは、多数のアビ類が衰弱して海岸線にうずくまっているという島民からの連絡に対応しました。この事態は、アビ類が渡りの途中で遭遇する油汚染の深刻な影響を示しています。世界に存在する6種のアビ類のうち、アビ、オオハム、シロエリオオハムの3種が漂着することが確認されています。これらは油による汚染よる低体温症のために対馬に上陸してくることが確認されています。

このような事例は対馬以外で報告が無く年々個体数を減らしている海鳥保護のため、原因究明と保護対策が求められています。

2024年シーズン初日の調査報告

 2024年のアビ類漂着鳥調査は、2月2日夜半博多港出航のフェリーで比田勝港に翌午前3時に入港し、2月3日の早朝から調査がスタートしました。調査チームはこの日、対馬の北部海岸線に沿って漂着鳥の監視を開始しました。

最初の調査地点は、白浜の美しい「なや浜海岸」でしたが、ここでは海鳥の漂着は確認されませんでした。続いて、日本の渚100選にも選ばれている「三宇田浜」に移動し、徒歩で海岸線の調査を行いましたが、ここでも鳥の姿は見られませんでした。

 午前中に長年アビ類調査を共同で実施している対馬野鳥の会の会長に連絡を取りました。会長からは、前日に小茂田浜に漂着した死体が確認されたとの情報を得て、調査チームは昼食後に現地に向かいました。小茂田浜の岸壁には地元の方が置いてくださったオオハム類の死体を確認しました。収集後、鳥インフルエンザ簡易キットを使用して陰性であることを確認しました。その後、死体は長年ご協力いただいているどうぶつ達の病院の冷凍庫に一時保管していただきました。



調査の初日から死体が確認され、今も17年前に知られるようになったアビ、オオハム、シロエリオオハムが渡りの途中で油の被害にあう状況が続いています。これらの調査結果は、油汚染による影響が依然として現在も問題となっていることを示しており、継続的な監視と対策が求められます。



 

日本では、環境保護団体のスタッフが漂着鳥調査を行う際の費用を支出するシステムがありません。そのため、NRDAアジアが対馬での調査を続けるために外部からの資金援助が必要です。もし可能であれば、私たちの活動へのご支援をお願いします。皆様のご寄付が私たちの取り組みを支えることになります。【寄付リンク】

 

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